オープニングセレモニーでまず山本彩子さんと伴奏者の忠和子さんの紹介があり、さっそくお二人が登壇。二人とも素敵な舞台用のドレスを着用してくださいました。まず、目の保養。そして、山本さんが登壇して最初に歌ったのが、ミュージカル『マイフェアレディ』のなかの「踊り明かそう」でした。オードリー・ヘプバーンの映画を思い出しながら、彩子さんの声量豊かな歌声を聞いていました。
次の曲はチャイコフスキーの「ただ憧れを知る人のみが」、続いてドナウディの「ああ、愛する人の」でした。「ただ憧れを知る人のみが」の原詩はゲーテです。『ウィルヘルムマイスターの修業時代』の中に出てくるミニヨンという少女が歌う詩の一つです。『ウィルヘルムマイスターの修業時代』を少年少女用の簡易版で読んだことを思い出しました。内容は、あまり覚えていませんが。でもこの詩は素敵です。
「ただ憧れを知る人だけが、私の苦しみをわかってくれるのです」で始まります。「あらゆる喜びから 一人切り離され 私は遥か遠くの 青い空を見つめています」。ドイツ語の響きが懐かしい。ミニヨンは助けてくれたウィルヘルムに恋しますが、彼とは身分の差がありました。ある日、彼の婚約者が現れ、目の前で愛の誓いを聞いたミニヨンは、ショック死してしまいました。ミニヨンの葬儀の時に、彼女が幼い時に行方不明になったイタリア侯爵の妹の子であることが判明します。なんか切ない物語です。
第1部最後の曲が、モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』「恋とはどんなものかしら」。伯爵の雑用係ケルビーノが歌う歌です。彼は、すぐに女性に恋してしまう思春期の少年です。女性のメゾ・ソプラノの人が歌うことが多いそうです。どの歌も、それぞれの文化的背景があり、それを知ると歌を聴く意味合いも変わってきます。でも、そこまで掘り下げていくのは大変なことですね。楽しみでもありますが。
第2部は、簡単なシルバー・リハビリ体操で始まりました。身体を少し動かした後、伴奏者忠和子さんがクリスマス・メドレーを弾いてくれて、合唱指導開始。参加者は忠さんが最初に弾いてくれた「きよしこの夜し」を、自然に口ずさんでいました。その後、山本さんの指導で「この道」を合唱しました。最初に山本さんが歌ってくれた時は、こんなに声が出るかなぁと心配しましたが、最後に皆さんが歌われたときは、気持ちよいほどに声が揃っていました。すごいなぁ。
声を出すために身体をほぐす方法や、声を飛ばすための母音法(劇団四季の発声法)なども教えていただき、恐らく参加された方たちは、ご自宅でも何かの折に実践してくださっていると思います。
迷いに迷いながら、でもこういう時期だからこそやりたいと思い実行しました。換気や座席の配置、人数に気を付けながら、お茶タイムを止め、マスク着用の徹底での実施でした。彩子さんの歌に皆さんの身体が揺れているのを見、マスクを着けていても分かる集まった方たちの表情の明るさ、雰囲気の柔らかさに、スタッフ一同、嬉しく思いました。
1月は、レクリエーションゲームと長めのカフェタイムを予定していましたが、今回は中止にしました。密にならざるを得ない企画ですし、密にならないとつまらない企画なので。