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津軽三味線について  川嶋志乃舞さんより解説していただきました。

 ■川嶋志乃舞さんの経歴笠間市出身の津軽三味線奏者で、シンガーソングライター。東京藝術大学音楽学部邦楽科・長唄三味線専攻卒業。3歳から津軽三味線の大御所佐々木光儀に師事。水戸の魅力宣伝部長、笠間特別観光大使。日本武道館や海外でも演奏を経験。津軽三味線全国大会の各部門で4回の優勝経験を持つ。

 

    津軽三味線の曲は基本即興なのでしょうか?

川嶋さん:即興なのは、曲全体のうちの「前弾き」と呼ばれる、三味線奏者の腕の見せ場のようなところのみで、それが終わると太鼓など囃子が入り、唄の伴奏へ  と移行します。

曲の大元の土台、テンポの中で即興をするので、ブルースやジャズなどと近いイメージです。

 

    六段とは何か、からして分かりません。バイエル、練習曲らしい、とはわかりましたが。

川嶋さん:六段については、津軽三味線の中でのまさにバイエル的な曲です。その名の 通り、全編6段の構成になりますが、流派や出演時間の都合によっては、13ver.、46ver.、あるいは1段→独奏→3段というように、構成は自由に組むことができます。バイエルとはいえ津軽民謡はやはり難易度が高く、聴き応え充分であり、「民謡スタンダード」としてプロもご挨拶がわりにしばしば演奏します。

 

    初桜と波音人はどういう曲でしょうか? 

川嶋さん:両曲とも、佐々木光儀流および弦悟郎のオリジナルじょんがら節合奏曲です。

・波音人:2006年頃に、家元佐々木光儀が、全国大会出場用に書き下ろしました。青森のねぶた祭りで踊る人、またその踊る音楽を総称して「跳人(はねと)」といい、本曲内のその情景を模したパートに由来して、家元が作曲命名いたしました。

・初櫻:2013年頃、川嶋志乃舞(佐々木光櫻)が、家元への恩返しと後輩弟子のために書き下ろしました。これまでにもじょんがら合奏は書き下ろしてきましたが、子供たち向けには初めての試みだったことに名前が由来します。

 

    花千鳥についてもお願いします。

川嶋さん:川嶋志乃舞のオリジナル曲で、2017年フジテレビ企画「大相撲ODAIBA場所」のために書き下ろしたテーマ曲です。

のちに、テレビ東京系「二代目和風総本家」のメインテーマ曲としても起用されました。後輩弟子たちから好評で、憧れの曲の一つであり、今回は代表して川嶋志乃舞の弟子、忠世莉奈が師匠の意思を受け継ぎ初披露いたしました。

詳しい楽曲の解説については、こちらをご覧ください。

https://eggs.mu/song/7f7c4f77f1feb8f92cfa3e55980acb637e72f1805d5392328b95b5268f4e060e/

 

    津軽じょんから節は常椽和尚の慰霊のためのと言われますが、旧節、中節、新節とあって、曲のテンポの速さが違うということでいいのでしょうか。

川嶋さん:津軽じょんから節は、新節、旧節、中節、新旧節とテンポリズムの違いで区分されます。全国大会での出場課題曲のほとんどは、新節の前弾き部分です。また、六段も新節の派生となります。

旧節はその土着的なテンポが津軽手踊りでも重宝され、多くの民舞家に親しまれています。

 

    藤あや子の『津軽じょんから節』の伴奏は小山貢社中がやっていましたが20人くらいで弾いていました。これはトップの人のその時の感覚に合わせているのでしょうか?

川嶋さん:まず大人数の場合での役割における並び順は、以下画像を添付しましたので、ご覧ください。

 

しかし、絶対的ルールというわけではなく、今回のように背の順、男女比での見映え、内から外へと年齢順、など演奏会趣旨によって変則的になります。あまり意味を持たない並びもあったりしますので、きちんとした演奏会以外ではあまり深く考えない方がよかったりするのも吉。適当な部分があっても面白いのが音楽の魅力なのかもしれません。笑