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第14回 ヤクルト健康教室

 体操と歌を皮切りに、第14回「はまぎくカフェ」が始まりました。シルバー・リハビリ体操で軽く身体を整えた後、「パプリカ」を最初にいつもの振りを付けながら歌いました。少し、皆さんの声も出るようになってきました。振り付けに気を取られると、歌うことがどうしても後回しになりがちです。その後、頭マッサージバージョンが付け加わりました。前回もやりましたが、今回は映像で紹介しながら、みんなで頭をくしゃくしゃにしました。そして、「茶摘み」を気持ちよく(?)歌って、ここまでで、皆さんも、結構、息が上がっていたので水分補給。

 

 さあ、いよいよ波多野さんのお話です。1番目が毎日の排便と腸内細菌、2番目が免疫の話です。私たちが100歳まで生きるとしてどのくらい食べるか。約33トン、そして食べたら出さなければなりません。排便は100歳まで生きるとして、約3万回だそう。よく噛むことで食べ物の消化を助けると同時に、ばい菌が混じっていても口の中の唾液で殺菌してくれます。

  次に、腸の模型を使って、小腸や大腸の長さが説明されました。参加者の方が実際に模型を引っ張り出して、長さを体験。小腸は何と6、7メートルもあります。大腸は1.5メートルくらいです。お腹の中にこんなのが入っているわけです。

 口から入った物は、24時間から72時間で消化されて出てくるようです。カチカチコロコロうんちは、腸の動きが悪くて大腸にうんちが止まりすぎるためです。下痢は、食中毒など悪い菌がお腹に入って来て早く食べ物を外に出すためなので、薬を飲んで下痢を止めたりしない方がいいという話。

 「便所」は「お便り所」です。うんちを目でしっかり見て、状態を確認し、匂いを嗅ぐことで状態が分かります。肉食動物のうんちは臭く、草食動物のうんちは香ばしいという話も出ました。

 「山吹の 薙刀一本 紙いらず 量が多くて においまた良し」というヤクルトに伝えられている57577が紹介され、みんなで笑いながら唱和しました。

 そして良い「うんち」をするための6つのコツが紹介されました。1.朝食と朝のトイレタイム、2.バランスの良い食事、3.水分をこまめに補充(1.5リットル~2リットル)、4.適度な運動、5.ストレス解消、6.乳酸菌の摂取

 適度な運動ということで、腸を動かす運動が紹介されました。身体を捻って腸に刺激を与え、ジャンプし、踏ん張る力をつけるためのスクワットや呼吸法を、一緒にやりました。そして宅配専用のヤクルト400が配られて、よく振って飲むようにと指導されました。下に溜まっているのはタンパク質なのです。「マスクしている方は、マスクを取って飲んでください」には、またまた笑いが飛び出しました。

 休憩を挟んで、免疫の話を伺いました。O157の食中毒の時、朝排便をちゃんとしていった児童は、O157の餌になるものが少なくて、症状が軽かったという話から始まりました。

 腸の中には悪い菌と良い菌、そしてそのどちらでもない日和見菌が住んでいます。約100兆個に上る腸内細菌は、腸内フローラという腸内細菌の微生物群集を構築しています。日和見菌は全体の約7割で、善玉菌、悪玉菌のうち数が多い方に味方します。日和見菌は、腸内フローラを形成(理想は2:1:7)する上で大きな役割を持っています。通常は善玉菌に加勢するようですが、悪玉菌が増えて2割になると腸内環境が一気に悪化します。(ヤクルト)シロタ株は胃酸に負けずに腸まで届いて、善玉菌を増やします。シロタ株は主に小腸で働きますが、小腸の調子を整えると、大腸にもいい効果が出て、大腸で働くビフィズス菌も増えるそうです。

 ヤクルトの生産・販売は、1935年から始まり、1938年に「ヤクルト」の商標登録がされました。出発点は、ヤクルトの父と言われる代田稔(1899-1982)さんが、1930年に、腸まで生きて届く乳酸菌の強化培養に成功したことです。これが「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(ヤクルト菌)」でした。「ヤクルト」という名前はエスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト」から来ているそうです。

  人間の身体の中で毎日作られているがん細胞も、免疫力があればその都度やっつけられています。がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞の強さはNK活性と呼ばれ、免疫力の指標のひとつとされています。そして、このNK活性は、加齢やストレス、生活習慣などの影響を受けます。このNK活性を高めるにはどうすればいいか。勿論生活習慣を見直すことは重要です。それと、乳酸菌の摂取が、NK活性の改善に役立つことが分かってきているそうです。

 

 以下、ヤクルト中央研究所のホームページから引用させて頂きます。

 

 私たちの腸には独自の免疫システムが備わっており、体全体の半数以上の免疫細胞が集まっています。腸に到達したL.カゼイ・シ ロタ株は腸の免疫組織に取り込まれ、免疫細胞と出会うと考えられています。免疫細胞の中でもマクロファージのような貪食細胞は、取り込んだ相手を溶かすことでその情報を得て、他の免疫細胞に情報を伝達するなどの働きかけをします。ここでカギとなるのが、L.カゼイ・シロタ株を形づくる特有な細胞壁構造です。

 

  L.カゼイ・シロタ株の細胞壁は、網目状の厚い層(ペプチドグリカン)と、この層から伸びるたくさんの鎖状の糖(細胞壁多糖)から成るユニークな構造をしています。この構造により、L.カゼイ・シロタ株はマクロファージに取り込まれても溶けにくく、その溶けにくさがマクロファージを効果的に刺激し、低下した免疫を回復させると考えられます。

 

 講話の後、何人もから質問が出ました。私たちの健康に腸の果たす役割の大きさに気づかされました。笑いあり、体操ありの楽しく有意義な1時間半でした。波多野さん、本当に、ありがとうございました。