第24回 津軽三味線演奏会

 恒例のシルバー・リハビリ体操から始めました。みなさんしっかり動いていて、身体をほぐしてから、歌です。『おぼろ月夜』と『青い山脈』の伴奏を忠和子さんが弾いてくれました。『青い山脈』で間奏が入ると、思わずみなさん拍手。参加者の皆さんにとっては懐かしい曲ですが、若い忠さんは知らなかったそうです。でもネットで素敵な伴奏曲を探してくれました。ありがとうございました。

 『パプリカ』を最後に歌って、石井代表から紹介があり、いよいよ演奏が始まりました。入場してきた「弦悟郎」のメンバーは、今回は着物に袴姿でした。

 オープニングは「弦悟郎」としての演奏で、津軽5大民謡の一つ「津軽あいや節」と「さくらさくら」~黒田サンバで始まりました。身長と男女別に座っていますが、向かって左端の忠世莉奈(ちゅうせりな)さんが、リーダ―(タテ)でテンポやノリを指揮しています。大勢で演奏するときは、真ん中にタテが座って、その両脇にワキ(伝達係)、そして両端がトメとして、リーダーを補佐します。この座り順は、別に固定はされていないようです。

 

 その後、第1部は水田凪南(みずたななみ)さんと武瑠(たける)さん姉弟のステージで、「津軽音頭」と「鼓動」が演奏されました。お二人は、4月2日の津軽三味線コンクール全国大会の独奏・小学生の部と中学生の部で、それぞれ4位になっています。

 調弦は結構難しいようで、「津軽音頭」を演奏する武瑠さんの三味線を、凪南さんが手伝って調弦していました。でも、ちょっと違っていたようで、終わってから武瑠さんが、口を突き出して抗議していたのが面白かったです。途中で弦が切れたりと、武瑠さんにとっては、心折れる場面が多かった。でも、参加者含めみんな微笑みながら、見守っていました。ここでのアクシデントが、全国大会で上がらない下準備になったのではないでしょうか。

 凪南さんの演奏「鼓動」に、鈴木大悟(すずきだいご)さんが急遽1週間前に助っ人要請され、かなり難しいフレーズを集中練習したようです。練習の甲斐あって、素晴らしいハモリでした。「鼓動」は吉田兄弟の弟さんの方(吉田健一さん)が作曲しています。吉田兄弟の演奏は迫力あります。そして、武瑠さんと凪南さんで「初櫻」。この曲は川嶋志乃舞さんが後輩のために作曲しました。

 第2部では大悟さんのステージから始まり、世莉奈さんのステージ、そして「弦悟郎」としての演奏に移りました。大悟さんは、「よされ節」と「波音人」を演奏しました。「波音人」では、凪南さんにいきなりの助っ人要請。熟してしまう凪南さんもさすがです。大悟さんは、4月2日の津軽三味線コンクール全国大会の独奏・中学生の部で3位でした。みなさん、凄いです。

 

 世莉奈さんはリンゴ節を独唱。その前にクイズもありました。そして、川嶋志乃舞さん作曲の「花千鳥」を、彼女の弟子である世莉奈さんが演奏しました。ここでも、川嶋志乃舞さんの出身地が3択クイズで出されました。笠間市出身ですが、参加者の皆さん、ほとんどが正解。

 

 もともと津軽三味線の原型は、新潟地方の瞽女の三味線と言われます。津軽地方ではボサマと言われる男性視覚障害者の門付け芸として弾かれていました。幕末に五所川原に生まれたボサマ「仁太坊」によって、それまでの地味な門付け芸が、革新的な奏法を取り入れることで、津軽三味線の原型が築かれたと言われます。

 

 高橋竹山さんによると、祭りになると神社の境内で、ボサマたちが互いに技を競うように三味線を演奏していました。そんな環境の中、津軽三味線の草創期の名人と呼ばれる人たちは、より大きな音・派手な音を追求するようになっていきます。そしてそれまでは瞽女と同じように細棹や中棹を使っていたのが、太棹を使い、撥も速弾きに適した小ぶりなものになり、「叩き」という奏法を用いるようになっていったそうです。

 最後に「弦悟郎」として「六段~独奏付き」と立ち三味線で「弾・弾・弾」が演奏されました。アンコールに演奏されたのが、「テイクファイブ」でした。

 

 今回「じょんから節」は演奏されませんでしたが、独奏曲としてはよく演奏されるようです。特に新節は、演奏者によってまるで違った曲に聞こえます。レベル2からレベル4まで幅があります。初心者も演奏しやすいようですが、奏者の弾き方で違いが出ます。

 

 上妻宏光さんが「津軽じょんから節(旧節)」を国立能楽堂で演奏したYouTube動画を観ましたが、リズムが複雑で繊細、これが「じょんから節なの?」と思いました。舞台自体も趣がありました。新節の演奏では、ダイナミックでかなり難しい技法を使っていました。他の人の演奏を聴くと、全然別の曲じゃないかと思います。

 

 

 

 日本の有弦楽器の中でも津軽三味線の演奏者たちの持つ独創性は、津軽三味線の根っことも関わっているのかなぁと思わされました。

 

 素敵な演奏をして下さった「弦悟郎」のみなさん、ありがとうございました。参加して一緒に楽しんで下さったみなさんにも感謝です。