第30回 なぜ歯を磨かなければいけないの?

 テーマに合わせて毎回制作される会場のボード作品。今回は大分悩んだようです。歯の根っこの話、と言う辺りから羽根、翼と発想が飛んで、「サモトラケのニケ」のデッサンが飾られました。

 「サモトラケのニケ」は、ルーブル美術館のダリュの階段踊り場に飾られています。頭部と両腕は失われています。右翼は、左翼を逆にして形をとって作られました。右翼で残っているのは2つの断片だそうです。左翼は、1863年にサモトラケ島で、胴体部分と一緒に1118点の断片として発見され、復元されました。ギリシア彫刻の傑作と言われます。これしか残っていないのに、風を感じます。衣服の「ひだ」の表現と動的姿態から生じる効果です。

 サモトラケのニケは、勝利の女神ニケが船の船首に降り立った姿を表現しています。制作は紀元前190年頃と言われていますが、諸説あります。ルーブルを代表する作品の一つです。ルーブルで観てみたいですね。

 

 シルバー・リハビリ体操から『パプリカ』、『月の砂漠』の歌唱へ進みましたが、ちょっと今回は映像が上手く出ませんでした。参加者の皆さん、ごめんなさい。Zoom録画をしていて、回線の容量オーバーが起きてしまいました。裏方裏話 でも皆さん、寛容な対応をして下さいました。ありがとうございました。

 

 

 私もそうですが、私たちは虫歯や歯肉炎にならないと、なかなか歯医者さんには行きません。でも「ひたちなか市国民健康保険歯周病検診のお知らせ」が届き、行かないとまずいのかなぁ、無料だし行った方がいいかなぁ、等々考えていました。そういう時に、今回の企画でした。

 歯周病検診の後は、「定期的な歯科健診」を、という勧めも、お知らせの中に入っていました。検診は特定の病気の発見を目的とし、健診は健康かどうかのチェックだそうです。これも今回、知りました。

 

 写真が講話者の野沢正仁先生です。同級生の作山さんから紹介があった後、お話が始まりました。パワーポイント資料を使っての、とても丁寧なお話でした。まず、歯科健診で分かることは何かのお話から。

 歯の数、歯の状態、噛み合わせの状態、口の中の衛生状態、口の中の乾燥状態、歯周組織・粘膜の状態等々。後期高齢者の健診ではその他にも項目が追加されます。皆さんが興味を示されたのが、足のふくらはぎの筋肉の状態を調べる指輪っかテストです。歯の話とは少し離れましたが。

 口の中の組織の状態を、正常な状態と歯周病の状態を並べて説明してあるスライドです。プラークや歯石という言葉をよく聞きますが、プラークと歯石の違いがよく分かりました。そして、プラークや歯石は歯磨きだけでは取り切れないので、定期的に健診を受けて綺麗にする必要があると言われますが、なるほどと思いました。歯周ポケットをチェックするのも何をやっているかがよく分かりました。

 

 お話の後、質問が結構出て、面白かったです。歯周ポケット自体は治らないのかという質問がありました。歯周ポケット自体は治らないそうです。ただ、腫れが引くことで深さの数値が小さくなるので、きれいにお掃除した後は、歯磨きをしっかりやって状態を維持すればいい、という説明に納得しました。

 歯周病は、歯周病菌が増殖して歯肉が炎症を起こした状態です。細菌は歯と歯茎の間で繁殖します。だから、歯磨きしてここに空気を入れてあげると、繁殖しにくくなります。「なぜ歯磨きをしなければいけないか」も納得できました。

 歯周病と認知症の関係についてもお話がありました。認知症の代表的なものが、アルツハイマ-型認知症ですが、これはアミロイドβが脳に溜まることで進行します。アミロイドβは人の脳に一定程度存在しますが、適度に排出されています。これが排出されなくなって、アミロイドβが増加すると、アルツハイマー型認知症を発症すると言われます。歯周病との関係ですが、歯周病菌が血液に流れ込んで、脳内で免疫細胞が歯周病菌を過剰に攻撃すると炎症物質(サイトカイン)が生じます。その炎症物質が免疫細胞を刺激してアミロイドβを作り出す、というような研究結果が報告されているそうです。この辺り、ちょっと難しいですね。面白かったですが。

 

 入れ歯は寝るとき取った方がいいかどうか、という質問もありました。これは入れ歯を綺麗に洗浄した後であれば、どちらでもいいようです。顎関節症とか、ストレスで歯をかみしめる癖のあるひとの場合は、着けていた方がいいとか、それぞれの症状が関係するので、罹っているお医者さんに相談してほしいとのこと。私は、外れて喉に詰まるとまずい、と考えていましたが、確かに総入れ歯の場合、そう簡単には外れないですね。

 

 しっかり準備して下さり、沢山の質問にも分かり易く答えて下さり、参加者の皆さんにも、私たちスタッフにも、楽しく有意義な健康講話の時間になったと思います。

 野沢正仁先生、ありがとうございました。

 

 今回「はまぎくカフェ」は30回目を迎えることが出来ました。参加して下さる皆様や講話や公演を快く引き受けて下さる皆様に支えられています。この場を借りて、心からお礼申し上げます。

 

 これからもよろしくお願い致します。

 

 次回は、脳トレで頭もこころも身体もリフレッシュしましょう。